果物が老化を早める!?


果物が老化を早める!?

 果物はヘルシーな自然食品というイメージがありますが、実はもっとも老化を早める食品なのです。

 果物にはビタミンCやフラボノイドといった抗酸化物質も含まれてはいますが、成分の大半を占めるのは糖質で、ブドウ糖や果糖がたっぷりと含まれています。

 砂糖は、ブトウ糖と果糖が一分子ずつ結合した二糖類で、摂取すると消化酵素によって、ブドウ糖と果糖に分解されてから吸収されます。

 それに対して果物の糖は、ブドウ糖と果糖に分離しているため分解する必要がなく、摂取後すぐに血液に吸収されます。つまり、血糖が上昇するのが砂糖より早いのです。また、ジューサーでジュースにして飲むと、食物繊維が破壊されるため、さらに糖の吸収が早くなります。

 

 血糖値が高くなると、糖とコラーゲンなどのタンパクが「メイラード反応」(メイラード反応=タンパク糖化反応)をおこして、AGEsという「老化物質」が生成されます。AGEsは「Advanced Glycation End-products」の略で、「終末糖化産物」という意味です。

 AGEsはコラーゲンの網の目構造に入り込んで、コラーゲンの弾力性を失わせていきます。その結果、まず血管が硬くなります。つまり、動脈硬化の主犯はAGEsなのです。とりわけ細い血管でAGEsの害が出やすいため、毛細血管の多い目や腎臓や脚の神経がやられやすいのです。そのため糖尿病の3大合併症が、目や腎臓や脚に出やすいわけです。

 

 AGEsは、アルツハイマー病の原因にもなります。アルツハイマー病の人の脳にはベータアミロイドが蓄積して、老人班というシミができています。このシミにはAGEsがたくさん溜まっていて、AGEsによって脳細胞が死滅していきます。

 

 AGEsは、骨粗鬆症の原因にもなります。AGEsによって骨のコラーゲンが劣化してボロボロになるからです。骨粗鬆症を防ぐには、骨量を増やすだけでなく、AGEsを減らす必要があるのです。

 

 骨や軟骨のコラーゲンが劣化すると、骨や関節の変形も招きます。

腰椎が変形して神経を圧迫すると、「脊柱管狭窄症」と呼ばれる足腰の痛みが引きおこされます。

また膝や股関節の軟骨がなくなると、関節に激痛がおきて関節の変形が進んでいきます。

脊柱管狭窄症も膝や股関節の関節炎も、AGEsによって骨や軟骨のコラーゲンが劣化した結果ですから、腰やヒザの痛みを治すのにもAGEsを減らすことが重要なのです。

 

 AGEsは、肌のシミやシワの原因にもなります。AGEsによって皮膚のコラーゲンが劣化すると、肌の弾力性が低下し、シワやシミを作ってしまうのです。

 このようにAGEsは、様々な疾患や老化現象を引きおこすわけですが、高血糖になるほど多くのAGEsが生成されます。

 また、ブドウ糖と果糖を比較すると、果糖のほうがブドウ糖の10倍も多くのAGEsを生成します

 つまり、果糖を摂るほど老化が早くなるのです。

 

 さらに、果糖のほうが太りやすいのです。ブドウ糖は、脳や筋肉や内臓などで消費されます。それに対して、果糖はほぼ100%肝臓で中性脂肪になります。したがって果糖を摂るほど、肝臓に脂肪が蓄積していき、血中のLDLコレステロールや中性脂肪値も高くなり、肥満になりやすくなるのです。

 そして肝臓の脂肪が蓄積していくと、いずれ脂肪肝からNASHと呼ばれる肝炎に進展します。NASHとは「Non Alcoholic Steato Hepatitis」の略で、非アルコール性脂肪性肝炎という意味です。脂肪性といっても、原因は脂肪の摂りすぎではなく糖、とくに果糖の摂りすぎにあります。