歯周病が全身病を引きおこす


歯周病が全身病を引きおこす

 

▶歯周病→糖尿病

 歯周病で歯茎に炎症がおきると、血液中に炎症性物質が増えます。すると、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが弱くなります。

 インスリンの働きが弱まることを、「インスリン抵抗性」といいます。インスリン抵抗性が高まると、膵臓からインスリンが大量に分泌されます。インスリンが大量に分泌されると、糖質が肝臓で中性脂肪に変換されます。それが蓄積して脂肪肝となり、肝機能が低下します。その結果、高脂血症や肥満、糖尿病にもなりやすくなります。

 

▶歯周病→認知症

 歯を失う最大原因も歯周病で、残存歯が少ないと認知症のリスクも高まります。

 歯で噛めなくなることで、脳にいく血液が少なくなるからです。噛むことは、脳への血流を促すポンプなのです。

 

▶歯周病→膝痛、腰痛

 歯がなくなると、足腰の痛みに悩まされやすくなります。歯がなくなると、顎がずれて頭が前に出るため、猫背になり、体重がつま先に多くかかります。その結果、膝や腰の負担が大きくなり、膝痛や腰痛になりやすくなるのです。

 

▶歯周病→肺炎、心臓病

 歯周病菌が血流にのって全身に移行することで、様々な疾患を引きおこします。

 たとえば、肺に移行すると肺炎を引きおこし、心臓に移行すると心筋梗塞や感染性心内膜炎などを引きおこします。

 

▶歯周病→不妊症、流産

 歯周病菌が子宮に移行すると、不妊症や流産の原因になります。

流産は、「歯周病菌によって血液中に増える炎症性物質が、子宮頸部を柔らかくするとともに子宮の収縮を引きおこすため」だと考えられています。

 さらに歯周病菌が胎児に直接影響を与えている可能性もあります。アメリカのケース・ウェスタン・リザーブ大学のイーピン・ハン(Yiping Han)氏らのグループが発表した報告によると、「35歳の女性が妊娠39週で死産した胎児を調べたところ、胎児の血液、胃や肺から歯周病菌が発見された」といいます。