「漏れやすい腸」=リーキーガットとは?


リーキーガットとは?

 タンパク質は、アミノ酸が多数つながって構成されています。

 私たちがタンパク質を食べると、胃腸で消化酵素によってアミノ酸の鎖が切られていって、タンパク質→ポリペプチド→ペプチドと小さくなっていき、最終的にアミノ酸にまで分解されてはじめて腸壁から吸収されます。吸収されるとすぐに肝臓に運ばれて、遺伝子に基づいてアミノ酸が組み替えられて、「自分のタンパク質」が作られます(同化)。

これが正常な、「タンパク質の消化・吸収・同化」のプロセスです。

 

 ところが腸壁のバリアがゆるんでしまうと、未消化なタンパク質(ペプチド)が腸から吸収されてしまいます。すると免疫系は、吸収されたタンパク質を異物とみなして排除しようとして、「抗体」を作ります。そして抗体がタンパク質を攻撃するため、炎症がおきます。

 こうして小腸に炎症がおきても症状は出ないため、私たちが気付くことはありません。しかし血液中には炎症性物質(炎症性サイトカイン)が増えるため、全身が「炎症をおこしやすい状態」になるのです。

 

 このように未消化なタンパク質が吸収されてしまう状態、つまり腸壁の細胞同士の結合(密着結合)がゆるんで、腸壁の透過性が亢進している状態を『リーキーガット』といいます。ガット(Gut)は「消化管」、リーキー(Leaky)は「漏れやすい」という意味ですから、「漏れやすい腸」という意味です。

 

 リーキーガットによって未消化なタンパク質が腸から吸収されると、そのタンパク質に対する抗体が作られます。作られる抗体は主にIgG抗体ですが、IgA抗体が作られることもあります。

 どの食品に抗体ができているかは個人差がありますが、日本人にもっとも多いのは、①卵、②乳製品、③製パン用イースト、といわれています。また、牡蠣やショウガに強い反応を示す人も多くいます。

IgGやIgAの抗体検査は日本の病院ではできませんが、アンブロシア社から検査キットを購入すれば調べられます。血液サンプルをアンブロシア社に郵送すると、検査結果をおよそ2週間後に受け取れます。自分にとってどの食品が「不耐」であるか知っておくことは毎日の体調管理にとても役立ちますので、一度調べておくとよいでしょう。

 

 ちなみにリーキーガットの代表的な原因は、小麦や大豆に含まれるタンパク質「グルテン」です。

 グルテン研究の第一人者であるハーバード大学医学部のファサーノ博士によると、グルテンを摂取すると、腸の粘膜から「ゾヌリン」が分泌されて、腸壁の密着結合がゆるんでしまうといいます。

 また、痛み止め(消炎鎮痛剤)やステロイド剤、女性ホルモン剤なども、腸の密着結合をゆるめてしまう作用があります。

 さらに、大豆サポニンやレクチン、果糖や人工甘味料、リノール酸やトランス脂肪などがリーキーガットを助長させることが明らかになっています。